樹上性と樹上棲のちがいは何?爬虫類の秘密

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樹上性と樹上棲のちがいは何?爬虫類の秘密

樹上性

主に樹上に生息する性質。

『広辞苑 第七版』

樹上棲

主に樹上に生活する動物のこと。

『広辞苑 第七版』

 時折、日本では、爬虫類のカテゴライズにおいて、樹上性や樹上棲、地表性、地表棲などの議論が起こることがあります。しかし、実際にはこのようなカテゴライズは爬虫類には存在せず、特に「棲」という字が含まれる言葉は、霊長類のカテゴライズに使われる言葉です。また、「性」という語も名詞ではなく、形容詞であるため、爬虫類を「樹上性」といった一つの言葉で性質を表現することはできません。例えば樹上棲というと、基本的に木の上で集団で生活している猿類などが有名でコアラなども樹上棲です。グリーンパイソンなどの木の上に居るイメージのある蛇はコミュニティを形成しているわけでもなく哺乳類ではないので「棲(すむ)」という事が使えません。ただし、この「棲」と言う字が使えないのは生物学的な正式な分類上のルールであり、一般人が適当に使う分には問題はありません。図鑑や書籍のタイトルでも「樹上棲の〇〇図鑑」という物も多く存在しますがそれらは樹上性と樹上棲を同意義の言葉として扱っている為「基本的に木の上にいる」という意味だったりします。コミュニティの形成をしているかどうかの意味は含まれていません。

ボールパイソンはなぜ樹上棲と使えないのか:生物分類学でのカテゴリ

 生物学的に霊長類以外の住処を分類する際には、地上(陸)、淡水、海水、陸と淡水、淡水、陸と海水、陸と淡水と海水に分類されます。また、より細かいカテゴリーでは、生物がどのような環境で生息するかについて分類されることがあります。しかし、一般的に生物の住処については、森や草原など、曖昧な分類しかされていないため、これは求めている分類ではありません。

樹上棲と言う言葉は生物分類学では、その動物がコミュニティーを形成している場所としてカテゴリーされています。また、爬虫類はほぼすべての種類は地表に卵を産みます。木の上で生活している爬虫類も、木の上で産卵できますが、地表でもできることから、爬虫類は基本的に地表で行動する生物として考えられいます。

「IUCN Red List of Threatened Species」では、地上種という分類が存在します。例えば、グリーンパイソン、エボシカメレオンなどは、木の上で生活しているものの、地上種として分類されています。ま、宇宙や地中奥底で生まれるわけないので当たり前ですが・・・

 樹上棲という言葉は、生物学的な分類において正確なカテゴリーではありませんが、樹上性という言葉は、爬虫類の分類において使用されています。例えば、ボールパイソンは捕食時に樹上性を示す。といったように、爬虫類が樹木の上で生活、行動する能力など、何かをする時にどのような行動をするのかを表す形容詞として使用されることがあります。

 蛇を含む爬虫類で樹上棲と正式に書かれている種類はいません。また正式なものであれば樹上性という言葉は曖昧である為より細かく、傾向や気質などと言います。例文としてアオダイショウは生態的特徴として「比較的樹上傾向が強く,樹洞に潜むこともある。」などと記載れてます。これを適当に言うと「樹上性の蛇」と訳してしまいます。

他の言葉を例にする:アルカリ性、酸性

アルカリ性と酸性は、化学的な性質を表す言葉であり、化学物質が酸性である場合は、水素イオンを放出する傾向があることを意味し、アルカリ性である場合は、水酸化物イオンを放出する傾向があることを意味します。傾向という言葉が大切です。

同様に、樹上性は、爬虫類が樹木の上で生活することができる能力を表す形容詞であり、例えば、以下のような文脈で使うことができます。

  • この爬虫類は、強力な鋭い爪を持ち、樹上性が非常に高い。
  • この爬虫類は、長くしなやかな体を持ち、樹上性に適応している。

つまり、樹上性という言葉は、化学的なアルカリ性と酸性と同様に、ある種の性質を表す形容詞として使用されます。

他動物での意味

 奇蟲での地中性、樹上性、半樹上性、地表性では明確な分類がされています。これらの分類は爬虫類も同様の意味です。地中性は自ら土などに積極的に穴を掘り、獲物が寄ってくるのを待ちます。半樹上性は穴を巣穴にしているものの、捕食行動は樹上で行います。樹上性は巣穴自体がない、または木の中に巣穴を形成し繁殖時も地表には降りません。地表性は地中性と同様、穴を掘り地表に巣を形成するか、巣を持ちません、捕食行動は地表のみで、木登りを行いません。

タランチュラでの違い

 奇蟲で安価で人気が高いタランチュラは、一般的な想像と違い、地表性やほとんどの場合地中性です。それらの特徴として、樹上性または半樹上性でない場合、糸をほぼ出さないという傾向があります。糸の量、巣穴の形成方法を簡易的に伝える方法としてタランチュラでは、樹上性、半樹上性、地上性、地中性という言葉を使う場合があります。ちなみにどうぶつの森で出てくるタランチュラは地表性のメキシカンレッドニー【バードイーター】で自分の巣穴の底面に薄く糸を張る程度です。

日本語の難点

日本語では同じ読みなのに漢字の違いだけで意味が変わってしまいます。冒頭に樹上性と樹上棲の辞書上の意味を出していますが、わかりにくいです。日本語の文脈での「樹上棲」は、樹上に特有の生態系やコミュニティを形成している場所を指します。厳密で些細な事ですが、爬虫類は木の上で生まれ木の上で生活する種類は極稀でありカメレオンでもグリーンパイソンでも地表に卵を産むことができます。その為厳密には棲が使えないのであって適当に「木の上に主にいる」という意味で使う人が多いです。

爬虫類では曖昧な理由

 爬虫類では樹上性など明確な分類がないのは、単純に同じ種類の爬虫類でも捕食対象がどこに生息しいているのかで、行動が変わる為です。なので産地によって行動が大きく変わります。簡単な話でいうと、日本ではボールパイソンは冬眠する生き物と思われがちですが、本来は冬の無い地域で生息している為、冬眠なんてものはありません。産地でいうとガーナだと雨季と乾季がありますが、湿度が低く日差しが強い乾季に「休眠」を行います。また湿度が低下しない限り爬虫類の多くは休眠しません。その為繁殖を行いたいときは、乾燥している状態を作る為、日本では、「クーリング」と言い冷やしたりしますが、そのようなことをしなくても水入れを小さくして乾燥材を入れて、乾燥させれば容易に休眠します。(床材にペットシートを使うと拒食しやすいのはそれと水飲み場の小ささが起因します。)クーリングは命の危機状態にして繁殖を促すもので、専門的知識がない限りはお勧めしません。

ボールパイソンが樹上性を持っているかどうかについて

 海外での議論では。実際にボールパイソンの研究から、「特定の地域ではボールパイソンが木の上の雛を主な餌としている」という結果が出ています。そのため、ボールパイソンは樹上性の性質を持っていると考えられることがあります。実際に、IUCNでも「特定の地域で木の上の鳥類を食べることがある」としています。

したがって、ボールパイソンは木に登る能力を持っているため、「樹上性の素質がある」と言えます。ただし、個体差があり、全てのボールパイソンが樹上性を持つわけではないことに注意が必要です。

その個体差に注目:すべてのボールパイソンが樹上性の性質を持つ

特定の地域のボールパイソンは樹上性の素質がある事はわかりました。しかし、その特定の地域と、他の地域の身体的特徴がありません。その為、ボールパイソンは産地に関係なく、「本来ボールパイソンは樹上性の素質を持っている。」という題名で話題になります。これが樹上性かどうかという問題の大きな内容であり反論の余地がない為、樹上性でごり押しされてしまいます。でもよくよく考えてほしいのが、ボールパイソンに限らず、ほぼすべての蛇が餌をとる時は巣穴から出て地表か樹上で捕食行動を行うのでボールパイソンが捕食時樹上性であると言うのは少しおかしいです。なぜなら先も言った通り他の蛇も同様の行動を行うからです。つまりボールパイソンが木登りしてもそれは特執するようなことでもないどうでもいい事です。

実際に持っているのか?

実際に産地関係なくその特性を持っているのかについては、ボールパイソンを飼育している皆さんは実感したことがあると思います。

「餌に興味を示さないとき、拒食した時、木にぶら下がっているようボールを持って。餌を下から近づけると食べる。」

「木登りするボールパイソンは気性が荒くなる。」

上から餌を見ることは、木の上にいないとないですよね?
木登りする=穴から出てきてる=活動時=餌を探しているとき→ボールパイソンは気性が荒くなる。

このことからわかる通り、確かに産地に関係なく樹上性の素質は持っていると考えるのが普通ではないかな?と思います。ただし先に書いた通り、好んで木の上に上がっているわけではないです。仕方ないのです。

日本特有種のアオダイショウは?

 日本の図鑑上では日本の固有種アオダイショウは明確に「活性時樹上性の行動を行う。」と書かれていることがあります。一般的には地表にしかいないとと思われていますが主たる活動拠点は木の上なんですね。ちなみに私の住んでいる山口県では天然記念物指定されており飼育できませんが、アルビノ個体アオダイショウ「白蛇(シロヘビ)」がいますが、この子たちは木の上や石碑の上に絡みついています。岩国のシロヘビは他県とは異なり特徴的で、その特徴に似たアルビノアオダイショウを一般飼育しているのがばれてしまうと逮捕されます。それが原因なのかわかりませんが、山口県でアオダイショウを売っているのを見たことがありません。広島は多いイメージです。シロヘビ博物館は岩国錦帯橋周辺にありロープウェイの乗り口にあります。入場料は200円未満で小さな施設ですが多くの生きた岩国シロヘビを見ることができます。お守りやキーホルダーなど関連商品も豊富ですので一度行かれてみてください。

最終的な答えは?:ボールパイソンは半樹上性の行動種

「半樹上性の行動種」として英語圏では周知されています。周知と言ってもWikipediaでの記載です。ここにきて新しい言葉が出てきましたが、安心してください。ボールパイソンはオスメスで行動が異なります。オスはアダルトまでは木の上で餌をとる「樹上性の行動種」ですが、アダルトを超えたオスと、体重が増えて木登りできないメスのボールパイソンは樹上性の行動を示していましたが、その素質は使えなくなり、地表で餌をとるようになります。それ故、樹上性の行動種ではなく、半樹上性の行動種とされています。ましてや、ボールパイソンは捕食時や繁殖期以外では巣穴から出てきません。

ベイビーに餌をあげる時実は・・・

ボールパイソンのベイビーにはじめて餌をあげる時は初脱皮の3日後と私は勝手に決めています。いままで20匹程度の自家繁殖ベイビーしか飼育したことはありませんが、普通にホッパーやファージクラスの餌を与える際、ピンセットで見せると食べる子と嫌がる子がいます。ほとんどが嫌がります。ですが、ボールベイビーの尻尾を持ちブランブラン状態にして餌を見せると飛んで食べます。嘘と思うかもしれませんが本当の話です。海外ではアダルトでも服をかけるハンガーに何匹もボールパイソンをかけて餌を与えるなんて動画も昔はありましたね。

話は戻る:英語圏以外では樹上性の行動種

話は戻りますが、樹上性と言う言葉は正確なカテゴリーではありません。その為、英語圏で半樹上性と言っていても、他の国では、「樹上性」だと書いてあります。これは言葉の解釈の違いです。一度でも木に登れば樹上性というところもあったり、アメリカの様に調査結果、成長に伴って変わるから半樹上性といったり。日本の様に、人に地表性と聞いたから地表性と言うように国によってさまざまです。

どっちなんだい!!!!:樹上性!!!

私の考えにはなりますが、英語圏の半樹上性があっているのか、樹上性があっているのか。それは樹上性だと思われます。ここまで読んだ方は同じ結論になると幸いです。

木に登る性質を成長と共に失う場合でも、元々素質があるのであれば、樹上性ではないでしょうか?

ちなみに上記の判断は英語圏以外の判断と同じ理由です。

成長が遅ければ、木に登り続けて、体重がないメスは木に登るんじゃないかな?と思います。

ボールパイソンは樹上性の行動種かAIに判断させてみる:結果は微妙

ChatGPT4にオスメスでの成長過程と木に登らなくなることをメモリーさせました。また、英語圏のWikiでは半樹上性であるとされていると条件として与えました。その結果、以下の解答が来ました。

私

先に定義した事と、以下の文を読んでボールパイソンは樹上性の行動種なのか半樹上性の行動種なのか判断してみてください。

ボールパイソンは、オスとメスで行動が異なるため、樹上性の行動種か半樹上性の行動種かは判断が難しいです。英語圏では、「半樹上性の行動種」とされていますが、オスは成体まで木の上で餌をとり、樹上性の行動種とされます。しかし、成体を超えたオスと、体重が増えて木登りできないメスは、樹上性の行動を示していましたが、その後は地表で餌をとるようになり、樹上性の行動種とは判断できません。

したがって、ボールパイソンは、オスとメスで行動が異なり、そのため樹上性の行動種か半樹上性の行動種かは明確ではありません。ただし、英語圏以外では「樹上性の行動種」とされることがあります。

ChatGPT-4

曖昧で納得できませんね。喧嘩別れする前にもう一度聞きましょう。

私

あなたが知り得る知識と先に私が書いた内容で協議して結論を出してください。

爬虫類における「樹上棲」というカテゴリーは正確な生物学的分類ではなく、代わりに「樹上性」という言葉が使用されます。ただし、樹上性という言葉の使い方は、国や地域によって異なる場合があります。

また、ボールパイソンについては、オスとメスで行動が異なり、樹上性の行動種か半樹上性の行動種かは明確ではありません。一部の研究では、「樹上性の行動種」とされているものの、その行動は個体差があり、全ての個体が樹上性の行動種とは言えません。したがって、ボールパイソンは半樹上性の行動種と考えるのが妥当かもしれません。

しばらくご飯はなしです。

ちなみに

私

グリーンパイソンは樹上棲ですか?半樹上性ですか?地表性ですか?

グリーンパイソンは、爬虫類における「樹上棲」というカテゴリーは正確な生物学的分類ではないため、代わりに「樹上性」という言葉が使用されます。グリーンパイソンは、樹上性の行動種に分類されます。

ChatGPT-4

ほーん

最後に追記(2024年7月30日)

 当サイトではこの記事はランキングでいうと10位以下で、当サイトのTOPはクレスやグリーンパイソンなどで、それらは検索すると当サイトがTOPにでますが、ボールは圏外です。しかし、この樹上棲なのかどうかという検索では日本ではTOPです。それほどボールパイソンや他爬虫類(イモリ系)の樹上棲が気になる人が多いようですが、30匹以上ボールを飼育している私から言わすと・・・・ボールパイソンに木登りできる環境を作って飼育すると狂暴化して噛んでくるからやめた方が良いです。みんなのイメージ通りのかわいいボールパイソンを飼育したいのであれば木登りできる環境にするのはやめましょう。餌を与える時だけブランブランにしてあげるだけで十分です。動物福祉を考慮して木登りできるようになんてのは聞いてない事にしましょう。