【2025年版】グリーンイグアナの飼育方法

トカゲ類爬虫類

~初心者から中級者までのための実践的アプローチ~

はじめに

グリーンイグアナ(Iguana iguana)は中南米原産の樹上性の大型トカゲで、美しい緑色の体色と知的な目つきが特徴的な爬虫類です。その見た目の美しさとインパクトから人気のあるエキゾチックアニマルですが、実際の飼育には広いスペース、正確な環境制御、高度な栄養管理が求められます。本記事では、グリーンイグアナを健康に飼育するための基本事項を、飼育初心者から中級者向けに解説します。


1. グリーンイグアナの基本情報

  • 分類:爬虫綱 有鱗目 イグアナ科
  • 学名Iguana iguana
  • 体長:最大全長150〜200cm(尾含む)
  • 体重:オスで最大5〜6kg以上になることも
  • 寿命:飼育下で10〜20年(適切な飼育条件下)
  • 性格:知能が高く、人にも慣れるが、繁殖期などに攻撃的になることがある
  • 飼育難易度:中~上級者向け 爬虫類ではあるが数少ないほぼ毎日餌が必要でUVBと特殊なホットスポットが必要

2. 飼育環境の構築

ケージ・テラリウム

  • サイズ(成体):最低でも幅180×奥行90×高さ180cm 縦長の猫ケージを使用することが多い
  • 素材:木製+メッシュ、ガラス水槽+上部通気など。通気性・保温性・登攀性を確保する必要あり
  • 構造:縦方向の動線(登れる枝や棚)が必須。地上性ではないため、高さ重視

幼体時片手で乗るほど小さく、ミニチュアの恐竜の様に可愛く、一般的な爬虫類ケージで飼育可能です。しかし、そんな時期は一瞬です。ですがUVBやバスキングライトが必要である為、グラステラリウムのハイタイプなどを使用するしかありません。ティッシュペーパーの箱くらいのサイズになったらケージの高さより横に広いケージが重要ですが、もちろん高さも必要である為、小動物用のメッシュタイプのケージを利用します。胴体が枕くらいの大きさになると猫の縦長3段のケージを生涯まで使います。ただし、鉄格子の間から逃げてしまうので、ケージの外上部、とサイド4面にホームセンターで販売されているメッシュの鉄格子を張り付けるか、ワイヤーメッシュを貼ります。元の猫ケージの鉄格子から出れないほど頭がデカくなったら外に張ったワイヤーメッシュはすてても大丈夫です。

温度・湿度管理

  • バスキングスポット:約38~45℃
  • 全体の温度帯:日中26〜32℃、夜間22〜26℃
  • 湿度:60〜80%。加湿器・霧吹きの併用が望ましい
  • 夜間の冷えすぎ対策:セラミックヒーターや保温電球を用いる

バスキングスポットが特殊であり高出力の非視光性バスキングライト、つまりバスキンググローライトを常に稼働させて体温35℃以上を維持できるようにする。成体になればなるほど湿度は気にしなくてもよいが温度不足で風邪症状のようにくしゃみをしだし餌を食べなくなる。グリーンイグアナ、サバンナモニター、リクガメがグローライトを使用して他爬虫類は夜間は起動させない為視光性バスキングライトで十分です。

おすすめ品

高出力(150W)対応のライトマウントは日本ではGEXのEXOTERRAの18㎝モデルしかないはずです。14㎝モデルは75Wまでしか使えないので高さを調整して成体との距離を20㎝以内にしないといけない可能性があります。GEXのライトドームは吊り下げようの鉄が付いているのでそこと、ケージの上の鉄格子を100円均一でうってあるカラビナなどで付けれれば、角度調整もできます。ただ、西日本であれば冬以外では75Wで十分です。ただ冬場は150Wじゃないと全くバスキングライトとして機能しません。

紫外線(UVB)

  • 必要性:カルシウム代謝とビタミンD₃合成のため必須
  • 推奨機材:UVB 10.0クラスの直管蛍光灯 or メタルハライドランプ
  • 照射時間:10〜12時間/日。定期的な交換(6〜12ヶ月)を忘れずに

バスキングライトは高出力が必要ですが、UVBは75Wで十分です。

UVBライトは半年から1年で効力が著しく低下しただ光っているだけになる為定期交換は必須。詳しくは以下記事をどうぞ。


3. 食事管理

基本的な食性

  • 完全な草食性。動物性たんぱく質を摂取したら下痢がとまらなくなる。

主な餌の構成

  • 葉野菜(主食)
    • 小松菜、チンゲン菜、モロヘイヤ、ケール、カラシナなど(カルシウム豊富なもの)
  • 野菜・果物(副菜・おやつ)
    • ニンジン、カボチャ、ズッキーニ、パパイヤ、イチゴ(適量)
  • 避けるもの
    • レタス(栄養価が乏しい)、キャベツ(甲状腺腫誘発)、柑橘類、動物性蛋白、犬猫用フード

うちのグリーンイグアナ限定なのかもしれないがトマトが異常に好きで小松菜などとトマトを稀に上げるとトマトだけを食べて数日トマト以外食べなくなる。

栄養補助

  • カルシウム剤(D₃不要):毎日
  • マルチビタミン剤(週1〜2回):ビタミンA・E・B群などの補填
  • 水分供給:葉野菜+飲水皿+霧吹きで補完

4. 健康管理と病気予防

代表的な疾患と予防法

病名原因予防策
二次性栄養性代謝性骨疾患(MBD)UVB不足・Ca不足・リン過多紫外線照射とCa補給の徹底
口内炎ビタミン不足・ケージの擦傷餌の多様化と衛生管理
腸閉塞異物摂取や繊維不足餌内容の見直し・誤食対策
外傷脱走や落下など飼育空間の構造改善

健康チェック項目

  • 食欲・排泄・体色の変化
  • 鼻孔・口周辺の清潔度
  • 行動パターンの乱れ(登らない、隠れっぱなし等)
  • 定期的な体重測定(脱水や飢餓の兆候を早期発見)

第三の目があります。目と目の間の頭頂眼という鱗に見えるけど皮膚むき出しの場所が一か所あります。剥げているように見えますが、病気ではありません。これは光を感知する特殊な機能がある場所です。病死の多くがカルシウム不足といわれています。脱皮不全を起こしても問題が多く起こらないですが、成体になればなるほど脱皮殻をみずから取らなくなります。取ってあげましょう。


5. 人との関わり方と慣らし方

  • イグアナは視覚と記憶力に優れた爬虫類で、個体差はあるものの人に慣れることも可能です。
  • 最初は接触を控え、餌やりや観察から信頼関係を築くことが重要です。
  • 繁殖期(特にオス)には攻撃的になることがあり、咬傷や尾の打撃に注意
  • 抱っこよりも「近くで存在に慣れさせる」ことが第一歩。
  • 爪が固く限られたら跡が消えなくなるくらい深く切れるためハンドリングしたいなら先に爪切り必須。
  • トイレの場所を覚えて一か所でトイレを行う為、部屋での放し飼いが多い種類だが、部屋から逃げ出して全国ニュースになる爬虫類No1である。頭が良い為、自ら窓を開けたりすることができるといわれている。
  • ほぼ散歩が不要で餌代が安い長寿命な犬

6. 繁殖について

  • 成熟年齢:2〜3歳頃から可能という意見と5歳以降という意見がある。
  • 繁殖条件:繁殖期(乾季〜雨季の切り替わり)に近い環境再現が必要
  • 産卵数:20〜70個前後(年1回)
  • 注意点:無精卵でも産卵することがあるため、カルシウム不足による産卵障害には要注意

おわりに

グリーンイグアナの飼育は、見た目の美しさ以上に責任ある環境管理と継続的な観察・配慮が必要です。その巨体と高い環境要求は初心者にとって容易ではありませんが、正しい知識と設備、そして何より愛情をもって接すれば、20年近いパートナーとなる可能性を秘めた生き物です。

「飼える」ではなく「飼いこなす」を目指して、グリーンイグアナとの充実した時間を育んでください。