アジアアロワナの病気一覧
はじめに
アジアアロワナは一般的に、「病気に強い魚」というイメージがあると思いますが、実際は、「病気にかかり易いが治りやすい魚」です。多くの観賞魚は生涯1度も病気にかからず生涯を全うしますが、アジアアロワナは必ず1度は何かしらの病気にかかるとされています。今回はそんなアジアアロワナの病気を一覧で紹介します。画像の頭部左上の白い鱗は鱗剥げです。
注意点
薬や特定の化学的用品の取り扱いに注意が必要です。粘膜保護剤などは、水温が高い状態で使用すると、水の粘性が過度に高まり菌の繁殖を助けてしまったり、酸素の吸収を妨げ窒息する恐れがあります。また薬浴はアロワナなどの古代種の場合、鱗に付着し時間経過と、主に薬剤が変化し悪影響を及ぼすとされています。また薬浴時、水槽内に塩分が残っていない状態にして薬は投与しましょう。過剰に体が吸収して悪影響がでます。また一部観賞魚用の薬には初めから塩分が入っているものがあります。投薬時には比重計を使用し塩分量を見ましょう。当サイトで紹介する病気、その治療でしようする薬とは「グリーンFゴールド」を主に指します。メチレンブルーなどは、少量でも古代魚には致死量となる為注意しましょう。また、薬の使用後や、感染症の治療後は1週間~1ヵ月、消化不良をおこす可能性がある為、水温はすぐに戻すのではなく、徐々に戻していきましょう。
塩水浴で使用するのは岩塩か粗塩のみ、他の塩は悪影響です。特に海水魚用の塩はグラムに対しての塩分量が非常に高い為使用は禁止です。市販の塩が怖い場合は、ホームセンターでもある、金魚用の塩を使用しましょう。また塩分濃度計は高価なものを除き5%以下は正確な数値が出ません。水量に対して何グラム必要か計算してから投与しましょう。1%でも5%と表示されることがあります。逆もしかりです。
以下で紹介する治療法は自己責任で行ってください。当サイトは一切の責任を負いません。
アジアアロワナがかかり易い病気
アジアアロワナに限らず、観賞魚で病気と定義されているモノは放置していると悪化して、死に至る為注意が必要です。
1.白点病
- 病気タイプ:寄生虫感染症
- 視覚的症状:体及びヒレに白い点が発生する。
- 原因:白点病を引き起こす寄生虫に寄生されている。
- 対処方法:塩水浴と水温設定。毎日の水替え。最終手段として薬浴
- 回復期間:1週間~
白点病を引き起こす寄生虫は複数存在します。その為、温度や塩水浴で治療しても治らないことが多い病気です。温度に強い白点虫。塩分に強い白点虫。低温に強い白点虫がいます。それ故、海水魚でも感染することがあります。白点虫をはじめとして多くの小さな寄生虫は、魚に寄生して、水槽底面に落ちてを繰り返します。その為、底面を主とした水替えや、床材の清掃で容易に退治することができます。ただし、白点病の発症に気づくのが遅れた場合、魚に対して抗体を上げやすいように配慮する必要があります。主な対処としては、毎日の水替えと0.3%の塩水浴、水温を30℃~32℃にします。これは、高温に弱い白点虫と塩分に弱い白点中を除去し、塩分に強い白点虫に絞ります。塩分に強い白点虫は寄生と水槽底面の落下のサイクルが早いと考えられている為です。また、アロワナの新陳代謝を一時的にあげる為0.3%の塩水浴を行います。放置していると体を物に擦る行動を行い、傷ができ他の病気にかかります。
2.尾腐れ病(フィンロット)
- 病気タイプ:細菌感染症
- 視覚的症状:ヒレが短くなる、荒れる。ヒレの付け根が赤くなる。
- 原因:ヒレを溶かす細菌に感染している。生き餌が保持している。
- 対処方法:0.3塩水浴と30~32水温設定。毎日の水替え。または、薬浴
- 回復期間:2週間~
フィンロットは長年使用している水槽内にはいないことが多いです。多くの感染原因は新しく購入した生体に付着していた細菌が導入した水槽に入り込んでしまい、細菌の耐性がない生体が感染してしまう事が原因です。命を脅かすまで進行するにはかなりの日数が必要です。フィンロットが見られた状態で死んだ場合、死因はフィンロットではなく、ストレスや飼育環境などによる抗体の低下です。多くの場合、薬浴で治ります。薬浴を規定量の3分の1量を投与し1日~2日経過後、水槽の水をすべて捨て水槽を洗います。その後、その水槽に新しい水を入れ薬に浸かっている生体に水合わせを行い、水槽に戻します。注意点としては、水合わせ後、生体がいた薬が入った水は新しく作った水槽に入れてはいけません。また、生物濾過や物理濾過材は新しい水槽に使用してはいけません。菌が多く付着しています。この様に水槽を完全リセットするのは、フィンロットに感染している場合は他の菌も持ち込んだ可能性が高いからです。リセット後は水温をあげ、塩水浴を行い治るのを早めましょう。また、混泳させる際は、購入後すぐに混泳させるのではなく、最初は別の水槽で飼育して、1週間~2週間後に導入しましょう。水替えを高頻度で行い細菌の栄養となる餌の残り(タンパク質)が少なければ増殖速度を下げることができます。
3.松かさ病(エロモナス感染病)
- 病気タイプ:細菌感染症
- 視覚的症状:鱗がたつ。鱗が剥がれる。
- 原因:エロモナス菌に感染。
- 対処方法:即座に隔離。薬浴
- 回復期間:症状により1週~
代表的な病気ですが、塩浴や温度調整ではどうしようもない病気として有名です。フィンロット同様外部からの侵入での感染ですが、松かさ病に罹った金魚を放置している場合や食べた場合に起こりえます。松かさ病は他の混泳魚に感染させてしまう為、松かさ病に感染している生体は隔離治療を行う必要があります。また、薬での治療が主になる為、薬に弱いアジアアロワナなどの古代魚には天敵です。その為、先に紹介したフィンロットがわかった時は、このエロモナスも侵入した可能性がある為、水槽リセットをしなければなりません。隔離後、規定量の3分の1~2の薬を導入し治療しましょう。完治後生体の抗体を戻す為、塩浴を1週間行い、元の水槽に戻します。元の水槽は毎日水替えを行いましょう。
3.水カビ病、白カビ病
- 病気タイプ:真菌感染症
- 視覚的症状:白いもやが体についている。綿のようなものがついている。
- 原因:水質悪化。水槽内栄養過多。
- 対処方法:魚のカビを手で撫でて除去。その後半量以上の水替えを1日かけて行う。
- 回復期間:除去次第
栄養価の高い餌を与え続けている。生き餌を与えている。糞を除去していない場合に起こる病気です。また、フィルターや濾過槽にカビが繁殖している場合も水カビ病に罹ります。まず、フィルターや濾過槽にカビが発生していないか確認し、発生している場合は、清掃してください。その後魚の体にカビがついている場合そこを優しくなでて落としてください。すべて除去せずとも、水質改善すれば勝手に魚の体から無くなっています。また、水カビが水槽内から無くなるまで毎日水替えを行います。1日を通して数回に分け水をすべて入れ替える程度の量を水替えします。例えば、1回目は水槽の5分の1を水替えその1時間後また5分の1.これを1日で合計5回行います。その後、毎日5分の1程度の水を水カビが除去できるまで行います。1度にすべての水を変えた場合、Phショックなど他の病気になる可能性があります。そのような病気になるリスクよりも水カビ病の方が病状は軽い為、それほど焦る必要はありません。
4.鰓寄生虫感染症
- 病気タイプ:寄生虫感染症
- 視覚的症状:呼吸が荒い。水面近くで泳ぐ。等酸欠症状
- 原因:寄生虫の持ち込み。
- 対処方法:隔離、薬浴。
- 回復期間:不明、ほとんどの場合死亡。
魚のストレス状態に関係なく寄生させる一番恐ろしい感染症です。鰓寄生虫は複数の種類が存在し、人間の目に見える大きさの寄生虫から見えない寄生虫まで様々です。購入後や、輸入後に薬浴を行うのは、この寄生虫を除去する目的が大きいとされています。感染後2週間程度で生体は死にます。除去には薬を使用するしかありません。購入店に相談し、治療方法を聞きましょう。(以下は仕方がなく自力で治療させないといけないときに参考にしてください。)本来、観賞魚用の薬はアロワナなどの古代魚には良くないとされていますが、鰓寄生虫は規定量に近い量を使用せざる負えません。最初は規定量の3分の1から始め徐々に量を増やし規定量まで増やさなければならない可能性があります。薬は種類により異なりますが有効期間は3日~4日程度です。規定量導入後は3~4日回復を祈ります。購入店に相談し、購入店に治療してもらうのが一番良い病気でもあります。荒業で鰓を直接洗ったりします。また、購入店がアロワナなどの専門店の場合、高濃度酸素機ならぬ、水中の酸素濃度をあげる特殊な機械で治療してくださる場合があります。それほど、治療が難しい病気です、また、寄生後すぐに症状が出る場合と出ない場合があります。
5.目垂れ
- 病気タイプ:飼育環境
- 視覚的症状:片目または両目が下に向く。
- 原因:光源。
- 対処方法:環境改善
- 回復期間:1週間~1ヵ月
水槽用ライトが異常に強い場合や、水槽用ライトより他の周囲のライトの光源が強い場合、下を向くようになり。目垂れが進行します。また、水中ライトを使用している場合も同様の症状が起こります。部屋のライトが強い場合、水槽の側面4面にカーテンをつけて、決まった時間だけ水槽用ライトを点灯すれば、1週間~1ヵ月で治ります。また、水中ライトの使用中止や、水中ライトの位置、向きの調整で治る場合があります。本来上からの光の照射だけでは、直接生体の目に光が当たっているわけではない為、目垂れは起こりません。水槽外のライトが強い場合、水槽内から見ると、反射で側面に光源が存在することとなり、下を向いてしまいます。水中ライトも同様で、水中ライトを長時間点灯している場合や、奥行きが広い水槽で水中ライトを長時間使用している場合は起こりやすいとされています。また、生体に対して巨大な生き物が自分より下を泳いでいる場合、(巨大なエイなど)警戒して下を向くとされています。底面に薄くでもいいのでガーネットサンドをひけば、ガーネットサンドが光を反射して下を向かなくなる効果と、水中ライト同様、生体の色揚げや鑑賞度の上昇が見込めるとされています。
6.PHショック
- 病気タイプ:飼育環境
- 視覚的症状:呼吸困難。ふらふら泳ぐ。
- 原因:水替えに伴うショック症状
- 対処方法:水替え
- 回復期間:1ヵ月
水槽内のPHが元々低い状態で、一度に多くの水替えを行うと起こりやすい病気で、一番病気の死因としても多いと考えられています。大型魚の水槽は糞とバクテリアの影響で酸性に傾きやすい性質を持ちます。PH6.8前後0.2であれば最適ですが、水替えをさぼったり、過剰に酸素を供給している場合やバクテリアが付着する生物濾過材が古い場合、過度に酸性に傾きます。PHが6.5より低い状態で水道水で水替えを行うとPHショックが起きます。水替えをさぼっていた場合は、まずは、水替えの前に濾過材を清掃して、翌日から5分の1量づつの水替えをして水槽を立て直しましょう。PHショックが起きた場合は、環境の安定で治りますが、あまりにも症状がひどい場合は、塩浴や温度調節を行いましょう。本来は塩浴などせず、環境を安定させることが最も良い改善方法と考えられています。PHショックを起こさせない為に、日ごろからアロワナ用添加剤や、水替え前と後に粘膜保護剤のプロテクトXを使う。カルキ抜きを保護剤入りの物を使うなどの予防を行います。このPHショック対策とビタミン不足対策で、アロワナ用添加剤などが多く販売されています。
治療方法としては、元の水に戻すのが最適ですが、そんなんことはできません。それ故、ほぼ必ず死ぬ病気と考えられています。私がPHショック症状が出たときにする治療法を紹介しますが自己責任で行ってください。一切責任は負いません。
水温をあまり上げず、塩分濃度も0.1%程度にして、口に直接粘膜保護剤(プロテクトXやテトラのアクアセイフ)を20㏄程流すという荒業をすると1時間程度で呼吸が落ち着き直るなどの治療法がありますが、私の経験上ポリプテルスやパロット、プレコはそれで治りましたが、アジアアロワナは治りませんでした。特定の高価な熱帯魚は海外から輸入して1週間以内に販売している場合があります。アジアアロワナはその傾向が強く、自宅に郵送で到着し数時間かけて水合わせを行ってもPHショックを起こす場合があるので、購入時は証明書をみて登録日から何日かかっているのか見るか、購入後2週間取り置きしてもらうのが有効です。
7.消化不良
- 病気タイプ:環境悪化または何かしらの病気
- 視覚的症状:ふらふら泳ぐ。白くて透明で長い糞をする。
- 原因:食べすぎまたは、なにかの病気。水替え直前に餌を与える。
- 対処方法:水温を30℃~32℃にあげる。
- 回復期間:1週間
主に感染症に感染することにより、消化不良も起こします。また薬を使用した後などにも同様の症状が出ます。長くて透明な糞が出ます。水温を上げ消化を助ける必要があります。感染症完治後にすぐに元の水槽に戻したり、水温を戻してはいけないのはこの消化不良をおこす可能性が高いからです。と言ってもアロワナや観賞魚は2週間30℃以上の水に浸かっていると体力が落ちていきます。徐々に水温を28℃まで落としましょう。また、アロワナ用のバクテリア剤や添加剤に消化を助ける酵素が入ったものがある為そちらを日頃から使用することをお勧めします。
症状から病気を見つける
1.体に白い点
白点病
2.呼吸が荒い
鰓感染症。酸素低下。PHショック。瀕死。
3.水槽で泳がない。隠れる。
ストレス過多。混泳失敗。地震の前触れ。
4.肌荒れ
ビタミン不足。栄養の偏り。
5.目の白濁
ビタミン不足。栄養不足。瀕死。水質が異常に悪い。
おすすめの日頃のメンテナンスと環境
病気にかからない為に以下のことをお勧めします。
- 週1で水槽の水量3分の1が変わるように1回~3回の水替えを行う。
- 活性炭やウエットフィルターは3ヵ月毎に交換。
- ドライフィルターは週1や汚れているときに交換。
- 水替え前は餌を上げない。
- アロワナ添加剤を使用する。水替え時プロテクトXを使用する。
- 立ち上げ後1週間決まった時間に水質検査その後、2週に1回水質検査。
- 水温はるべく上げないか水槽内によどみを作らない。
おすすめ添加剤
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有名な大型魚用バクテリア補助剤です。バクテリア剤ではありません。大型魚の消化を助ける酵素が入っています。私個人の考えですが、これはバクテリアが多く入っていると言うわけではない為、水槽立ち上げ時に規定量使ってその後水替えで空になったら使いません。消化補助剤は他の以下で紹介する物を使っています。あくまで、立ち上げ時の亜硝酸、硝酸塩用のバクテリアのバランスを作る目的と新水での消化不良対策です。ジクラのバクテリア剤は他の製品でバイオセレウスなどがあります。ジクラ製品公式ページはこちら
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ビタミン剤と消化を助ける働き、PHショック対策として使用しています。1回の使用量が120㎝水槽で24㏄、キャップ1杯とちょっとで、約40回分の水替えに対応している計算になります。約1年に1本使う計算になりますね。
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実は先のアズープレミアムアロワナビタミンは規定量ではなく半量しか使用しません。その代わりにプロテクトXを規定量水替え時に入れているからです。本来は生体の粘膜保護剤ですが、プロテクトXの粘性は水槽内部の面に付着しバイオフィルムを作ります。つまり、水槽の側面自体が生物濾過材になります。生物濾過で一番バクテリアが多いのが、ウエットフィルター、次にドライフィルター、その次が濾過材ではなく水槽側面のバイオフィルムと言われています。側面につくため、悪性のバクテリアが付くのを防いだり藻の繁殖を防ぐのでお勧めです。ただし、化学物質なので規定量以上は使わないようにしましょう。
さいごに
アロワナ添加剤や大型魚用添加剤は通常の観賞魚用の物と異なり、非常に安価です。一つのボトルは四千円で高いと思うかもしれませんが、1回で使う量は120㎝水槽で5ccだとか、極少量しか使用しません。プロテクトXしかり、1回の使用量がキャップ1杯だったり、1年は持つので、病気にかかるくらいなら買って使用した方が良いです。
アロワナに限らず熱帯魚の薬は色素が主な治療効果がある物質です。その為、活性炭などを使用していると薬物効果が減ります。またメチレンブルーなど、光を使用して活性酸素を生み出し治療効果を出す薬もあります。薬を使用する際は用法をしっかり熟読しましょう。
アジアアロワナの中には人工的に作られた交配種が存在します。有名なのが、高背金龍。バンジャールレッド、ハイブリットなどです。これらは、病気を発症しやすい種類と言われます。その為日頃のメンテナンスや補助剤はしっかり行いましょう。
この記事が皆様のアクアライフに貢献できれば幸いです。