2024年版古代魚(アロワナ・ポリプテルス)や大型魚飼育に必要なもの全て

大型魚

2024年版古代魚(アロワナ・ポリプテルス)や大型魚飼育に必要なもの全て

はじめに

 古代魚といわれる『アロワナ』『ポリプテルス』などを飼育する際に必要な道具を詳しく紹介します。古代魚に限らず大型魚などの巨大になる観賞魚は決まった設備で飼育することが多く、観賞魚に合わせた飼育設備は、ほとんどありません。

素材の違い

大型水槽を考える場合水槽の素材、オーバーフロー用濾過槽の素材を考慮しなければなりません。また大型水槽の蓋も素材を考慮しなければいけません。

ガラス製

 ガラス製の水槽は90㎝でも住宅の耐荷重超過になります。120㎝の場合重すぎてかなり危険です。90㎝や120㎝の水槽は水草水槽や小型魚用の物になります。ただし、ガラス製水槽の最大の利点として、上部濾過槽自体を巨大化することができます。耐久性が高いことが最大のメリットになりますが、ガラス自体重量が高いため注意が必要です。

 ガラス製の蓋は大型の魚の場合使用不可能です。魚が飛んだ場合、ガラス製は容易に割ってしまいます。またコケが生えやすく、メンテナンス面でもデメリットの方が大きいです。

アクリル製

 大型魚水槽にする場合、ガラス製より安価になります。また重量も低いことからアクリル製の90㎝、120㎝水槽の場合、住宅改修をせずとも設置が可能となります。アクリル製品の特長として傷が付きやすい、耐久性がないことが大きなデメリットでありガラス製と異なり永久的に使えるというわけではありません。(耐用年数長くて10年)

 アクリル製の蓋は多くの方が使用しています。ただし、水に触れると変形しやすい特徴を持っており、さらに光により自然変形してしまいます。その為蓋で使用する場合、3㎜程度だと縁に鉄製のガードを付けて変形を予防したり、接着剤で蓋に骨格をつけます。その為6㎜~8㎜のアクリル板を加工して蓋にすることをお勧めします。

塩ビ製

 水槽で塩ビ製はありませんが、蓋やオーバーフロー用濾過槽で多いです。ただし、塩ビ製は耐熱性は非常に低いため、アクリルと比べ光に弱かったり、ヒーターに弱いです。その為、塩ビ製のオーバーフロー用濾過槽ではその濾過槽内にヒーターを設置することができない欠点があります。(一部では、塩ビ板に触れなければ大丈夫という意見もありますが、不可能に近いです。)水の付着での変形はアクリルより強いため、同じアクリル蓋と比べ薄い板でも同様の耐久性を持てます。アクリル板に比べ非常に安価である為、価格を抑えてスタートする方にはお勧めです。上部濾過槽を自作でする場合使用する例がありますが、塩ビ板はアクリル板と違い重さによる耐久力が低く、板自体に圧力がかかる場合容易に変形します。また塩ビは重合接着できない為、接着剤で工作します。耐久年数が重合接着のアクリル製品と比べ半分ほどです。上部濾過槽を自作する際はかなり厚めの板を使用しましょう。

 

水槽サイズの選び方

60㎝水槽(規格:横600mm×奥行300mm×縦360mm)(水量約50L)

 60㎝規格水槽は一般的な観賞魚用水槽で60㎝水槽用フィルターなど多くの用品が発売されています。ただ、大型魚を飼育する場合は幼体時のみの飼育は可能ですが生体が20㎝まで成長すると濾過機能、必要空気量が不足がちになり、無理に濾過機能、空気量を上げると水槽内の水の流れが速くなり生体のストレスに繋がりと共に、糞などの回収を濾過装置ができなくなります。60㎝規格水槽は大型魚の隔離や幼体を育てる為に一つは持っておきたい水槽になります。アロワナを飼育したい場合、60㎝規格水槽は不要です。水量の少なさの影響で、水替え頻度が上がってしまい、幼体でも多くの病気が発病します(白点病の頻発、鱗はげなど)。

90㎝水槽(規格:横900mm×奥行450mm×縦450mm)(水量約160L)

 90㎝規格水槽は30㎝~40㎝まで成長する生体を3匹ほど許容できる水量を持ちます。また、アジアアロワナの幼体~40㎝までを飼育できる大きさを持ち、アジアアロワナを飼育している人は90㎝水槽を複数所有している事が多いです。ただし、90㎝水槽に濾過槽を設置する場合、一般的な住宅の床荷重ではかなり厳しいと言われており、水槽の土台を多くの柱で支える為に横100㎝以上の物を用意する必要があります。その為、120㎝アクリル水槽を選択する人が多いです。ただし、90㎝アクリル水槽であれば問題ないとの意見もありますが多くの場合部屋の角に設置します。アジアアロワナを飼育したい場合はその種類の成長サイズに注意する必要があります。シルバーアロワナの場合成長調整が不可能な為、終生飼育はできません。60㎝水槽と異なり奥行が長い事から濾過装置を複数設置して水流の方向をコントロールすることができます。ガラス製の場合は重量がかなり高い事から土台がガラス製に耐えれるか確認が必要です。アパートやマンションの場合設置許可を取らなければないけません。日本の家屋の耐荷重は183.6㎏/㎡である為、90㎝ガラス水槽は満水の場合約200㎏を超える為、設置場所の耐荷重を設計図から見る必要があります。

120㎝水槽(代表的サイズ:横1200mm×奥行450mm~600mm×縦450mm~600mm)(水量約200L~400L)

 どのような大型魚でも飼育可能なサイズの水槽です。他の水槽と異なり規格はなく、奥行き60cm縦45cmが一般的でメンテナンスしやすく、一般住宅でも,鉄筋製の柱で、部屋の角であれば、床が耐えれると言われています。アジアアロワナとシルバーアロワナの終生飼育が可能となり。120㎝水槽で飼育ができないサイズの観賞魚は現在日本では一部の種類のみです。横幅が1mを超える為、床の柱1本以上で支えることが可能ですが、設置場所が床の柱1本などの場合、耐荷重OVERとなります。その為、床の柱が1本でも壁の柱が2本以上あり床の柱自体に通常よりも高い耐荷重がある、部屋の角が良いとされています。アクリル水槽の場合上部フィルターの設置はアクリルの耐久性の問題で通常できません。上部フィルターを設置する場合はガラス製に制限させるので注意です。

150㎝水槽(代表的サイズ:横1500mm×奥行600mm×縦600mm)(水量約460L)

 150㎝水槽以上から水槽台は鉄製となります、水槽自体500㎏以上ある為、日本の住宅の耐荷重の規格では補強が必ず必要です。設置者はコンクリートの上に設置しているか、床補強を部屋一面に行います。壁の柱が鉄骨ではない場合、設置を断念しなければいけないという例もあります。また、水槽内に筒があり、オーバーフロー水槽前提の水槽設計をしている事が多いですが、その設計を考えると水槽内の広さは120㎝水槽と差ほど変わらない場合があります。オーバーフロー機構の大きさをしっかり把握して120㎝でも大丈夫なのではないか考えてみましょう。内部の広さを確保したい場合はオーバーフローの機構の大きさを考慮しましょう。筒でOFする場合はもちろん120㎝より広い場合がありますが、コーナーOFの場合、120㎝水槽の方が行動可能な広さが広い場合があります。

150cmより大きい水槽

 150cm以上の180cm水槽、200cm水槽、3m水槽などは業者での設置となります。床、壁のゆがみを測定しそれに合わせ土台を平行に設置する必要があります。水槽設置業者に頼む前に床の補強を建設許可を取得している建設業者に頼み済ませて置きその後の設置となります。(水槽設置業者のほとんどは建設許可を持っていません。)また、180㎝以上の水槽は水槽内に病原菌の温床となる、よどみ(水の流れない場所)が発生する為、別途水流ポンプの設置が必要となります。

濾過装置

 水槽を設置した場合必ず濾過装置が必要です。多くの場合、外部濾過と上部濾過の2種類併用。もしくは濾過槽のみです。上部だけ、外部濾過だけと言うのは少なく、どちらか片方だけの場合、濾過装置をメンテナンスした時、水槽内の環境が大きく変化して生体に悪影響が出やすい為、メンテナンスを日をあけて行うことができる様複数の濾過装置を設置します。濾過槽はウエット機構とドライ機構があり、ドライ機構は水に浸かっていない物理濾過で、ウエット機構は物理濾過が水に浸かっている物で、水槽下部に置く濾過槽は通常ドライ機構に水が最初に落下しその後ウエット機構の物理濾過に水が行き、生物濾過を通り水槽に水をポンプで戻します。その為メンテナンスの多くは隔週や月代わりでドライ機構のフィルターの取り換えを行います。他の濾過槽の部位のメンテナンスは必要に応じて行い。生物濾過のエリアは数年触らない人もいます。

濾過装置との組み合わせ例

上部濾過と外部濾過を使う水槽

  • 90cm水槽
  • 120cm水槽

濾過槽を使う水槽

  • オーバーフロー水槽
  • 120cm水槽
  • 150cm以上の水槽

濾過装置毎の能力の違い

 一般的な既製品の場合、「濾過槽」>「上部濾過」>「外部濾過」>「投込式(ぶくぶく)」となります。これらはポンプの流水量の機能が大きく関わっており、外部濾過のポンプは上部濾過より弱い事があり、フィルターが数日で詰まりだし、それが阻害して規定の流水量が大きく下がります。上部濾過と濾過槽はフィルターの上に水を落とす機構である為フィルターが詰まり流量が減る事はありません。また、ポンプの流水量自体が強いです。上部濾過より濾過槽が優れているのは許容水量の多さで、許容水量が大きければ大きいほど、水槽内の環境は安定し、急激な変化が起こらない、水温変化が起こりにくいです。濾過装置を増やしても飼育できる魚の数が増えるわけではありませんが、濾過槽の場合、その濾過槽の許容水量が多ければ多いほど多くの魚を一つの水槽に入れれるようになり、過密化させアジアアロワナを数匹入れ縄張り争いが起きないようにすることができます。オーバーフロー水槽の場合、設計上、上部濾過の既製品の設置は水の回収口が重なる為、設置できません。

酸素流量(エアレーション量)

 大型魚の場合エアレーションの目安はありません。ただ、エアレーションは必須でありどのような濾過槽を使用していても設置が必須です。120㎝水槽以上の場合、相応にバクテリアも多い事から毎分30L可能な業務用エアーポンプを使っている人が多いです。業務用エアーポンプの方が一般に販売されている物より安く、音が静かです。

 それなりに空気量が必要な事と、大型魚に食べられない、動かされない大きさのエアレーションを設置しなければなりません。多くの場合、奥行きの半分以上の長さを持つエアーストーンを設置します。

水槽内の水の流れ

 水槽に設置する濾過槽の設計上、水槽の左奥に濾過槽や外部、上部濾過の水の吸い込み口を設置します。そこに向かって水槽内のゴミが行き着くようにするには、左奥で尚且つ左の壁に引っ付くくらいよせたエアーストーンを設置すれば、水槽内の水は左の水は上に上がり、その後上層は右に流れ、右の壁に当たった後、濾過装置の排水の流れも伴い、下に落ち、底面は左に向ける流れになります。この様にエアーストーンを設置してゴミをなるべく回収して水槽内の清潔を保つ方法が多くの人で行き着く場所となり、決まりきった方法です。オーバーフロー水槽の場合も同様の水の流れを作りますがオーバーフロー水槽で濾過槽に水を送る筒が多重構造の場合、底面のゴミと表面のゴミを回収する構造になっている為、水槽内にわざわざ水の流れを作らなくても大丈夫と考えられています。逆に筒が一つのオーバーフロー水槽はアジアアロワナやポリプテルスなどの大きい糞は重さがあり水面まで浮かない為、定期的に糞を回収する必要があります。

ライトと殺菌灯の関係と、殺菌灯の必要性の無さ

 殺菌灯と言うUVライトを設置して苔発生を抑制しようとすることがありますが、設置してもしなくても問題ありません。ネット上ではアロワナなどの大型魚水槽は苔が発生しやすいから殺菌灯が必要と言う意見がありますが、海水水槽をしたことがある人なら知っている事ですが、苔の発生は光量による影響なので強すぎるライトを当てなければいいだけです。海水水槽で多くの場合殺菌灯を設置しますが、これらは、サンゴやイソギンチャクの飼育で使用するライトの出力が高くないといけないことが原因なのと、生物濾過に重点を置いていない為です。大型水槽に使用するライトをLEDでライト自体を白色ではなく、青や赤のライトなどにすればほぼ発生することはありません。また苔が発生しても海水水槽と異なり、大型魚水槽は常に光量が必要なわけではない為、ライトを数日消して水槽内にほぼ光が入らないという状況を作れば消えます。また、大型魚水槽は蓋を必ずしているはずです。蓋の上からライトを当ててもよほど強い光量でなければ水槽内に苔は発生しません。ただし、蓋に内側から水滴がついている場合はその蓋に苔が着き、徐々に広がり水槽内で苔が付着する可能性があります。水中ライトは格好の良い演出になりますが、常用すると容易に苔だらけの水槽になります。また重要なのが、殺菌灯を設置しても一度水槽内でコケが発生すると殺菌灯は発生したコケはどうしようもない為効果がありません。殺菌灯を設置する水槽は水替えの必要頻度が多い水槽に向いています。

フィッシュレットは最初はあった方がいい

 大型魚の糞を回収する投込式のぶくぶくがあります。これは、空気の上昇する力を使い上部のプロペラを回しフィッシュレット内にごみを集め保持するものです。初めて大型魚を飼育する際は使用を推奨します。なぜなら複雑な形状をしていますが安価であり、糞の集まる量を観察し、どのような頻度で清掃する必要があるのか把握しやすいからです。また、最初は大きめのエアーポンプを準備してもそれを使用するエアーストーンなどが不足するなんてことがあります。その時の余ったエアーはフィッシュレットに使用できるので最初は使用することをお勧めします。最初というのは、フィッシュレットを長期利用しているとどうしても掃除できない場所に汚れが溜まります。また、水槽内の水流の邪魔をしたり糞の回収はフィッシュレットの様に水中でするウエット方式ではなく、上部濾過や濾過槽の様にドライ方式の物理濾過で回収した方が水槽内の水質を維持できるからです。さいごに重要なのが、フィッシュレットを設置するとどうしても水槽内の水流がフィッシュレットに集まるようになり、ほかの濾過装置の物理濾過が使えなくなったり、フィッシュレットは万能ではない為、すべての糞を回収できるわけではありません。またフィッシュレットの必要空気量は毎分3Lである為これだけだと120㎝水槽でもエアー不足になります。

ヒーターの設置

 ヒーターを設置する場合、水の流れがいい場所に設置するよりも、なるべく魚が居たがらない場所に設置することが重要です。ポリプテルスなどの種類は狭い場所を好む為ヒーターと壁や床の間に入りたがります。その為なるべくヒーターは斜め置きや縦に置き、角に置かず入りたくなるような置き方を避ける事がお勧めです。また濾過槽が存在する水槽の場合、それらを回避する為、濾過槽内にヒーターを置くことが一般的です。必要出力はその水槽にあった出力の物を購入してください。

サーモスタットを併用する

 多くの大型魚水槽の場合ヒーター自体に温度調整機能がついていない事が多いです。サーモスタットにヒーターを差し使用しますが、サーモスタットの温度感知システムはなるべく底面に設置してヒーターから少し放しましょう。火災事故の多くはサーモスタットの温度感知機能の故障が多く、サーモスタットが別で必要なヒーターは水槽内の温度が過度に上がっても感知できない為停止しません。サーモ、一体型ヒーターの場合、設定可能温度を超えると回路がショートして動かないようになっています。安全性を考慮するならサーモスタット一体型がいいですが、故障頻度が多い為、故障しにくいサーモスタット別型を使用します。サーモスタットのコードを曲げたり、水槽の蓋で押しつぶさないように注意してください。サーモスタット、ヒーター共1年ごとに交換することが推奨されています。最低でも3年以内には交換しましょう。

蓋は必ずつける

 水槽の蓋は必ず付けましょう。蓋がないなら飼育してはいけません。よく、アロワナは飛び出すと言いますが、他の大型魚は飛び出さないと勘違いしている人が多いです。アロワナよりポリプテルスや淡水エイの方が飛び出しの頻度は多いです。私も経験上掃除中飛び出すのは決まってポリプテルスなので、長細いポリプでも飛び出さないようになるべく隙間を無くすようにしたり、少しの隙間があるなら綿をその隙間に入れるなどの工夫が必要です。

 アクリル水槽の場合は蓋をネジで止める機構がある場合があります。ない場合は蓋の上に2Lペットボトルに水を入れた物を複数置くと少し安心です。アロワナはサイズによりますがかなりの重量があります。本気で当たってくると2Lペットボトル1本では蓋ごと飛ばしてくるため、蓋が割れないように置けるだけおきましょう。リッチにお金を使える人は、餌導入口がある、ガラス蓋を特注する人もいます。

さいごに

レイアウトは逆効果、ベアタンクが最高にして最強

マニアが行き着く先は何もレイアウト品を置かない水槽「ベアタンク」です。レイアウト品を何も置かない事が生体に対してもメンテナンスに関しても良い事です。それに景観も良い。よくあるハマりがちな事として、大型魚水槽に床材で砂やソイルを引く人がいますが、やってみればわかりますが、数日で糞の菌が移り砂がぬるぬるになります。その砂が水質を悪くしているのを早く気付かないと一気に成体が死ぬことになります。ポットに入れた水草などもおしゃれでいいかもしれませんが、糞が溜まらないように気を付けましょう。