観賞魚マニアがしている不思議な事の理由

大型魚観賞魚

観賞魚マニアがしている不思議な事の理由

はじめに

 今回はYouTubeやネット等で紹介されている観賞魚の飼育環境を例にとり、なぜその様な事をあえてしているのか、紹介しようと思います。

上部濾過と外部濾過の併用

 昔ではあまり考えられなかった方法ではあります。一昔前は上部濾過なら上部濾過だけ、外部濾過なら外部濾過だけが主流でしたが、現在は『外部濾過の流水量の低下が激しい』事がわかり外部濾過のみは、あまり使用されなくなりました。ただし、設置方法を工夫して、外部濾過装置にごみをなるべく吸収させないように設置して、上部濾過にごみを回収させる構造をすることにより、外部濾過装置を生物濾過装置として設置させるようになります。外部濾過の欠点として密閉されているため外部濾過装置内の酸素量が薄くなるという欠点をなくすため、給水口付近にエアレーションを設置する工夫が必要です。また、メンテナンスを行う際、外部濾過装置と上部濾過装置の二つがあれば、交互にメンテナンスを行うことで、水槽内の環境の変化を最低限に抑えることができる為、上部濾過を設置する際は、外部濾過も同様の規格の物を設置することをお勧めします。

給水口がない、濾過装置がない『外部濾過装置(底面フィルター)』

 観賞魚を多く飼育しているにもかかわらず、濾過装置がみあたらない水槽があります。多くの場合、底面フィルターというものを使用して、その底面フィルターに外部濾過装置の給水口を直接接続しています。これは、水槽内に平で網目状の板を底面に置きその上にソイルを引いて外部濾過装置の給水口を底面フィルターのストレーナーに直接接続して使用する方法です。この方法は水草と観賞魚を両立させる方法で給水口がないおかげで『景観を損なうことがない。』『ソイルがフィルターになる為、外部濾過装置がほぼ汚れない。』『外部濾過の給水速度が速くても底面フィルターで分散されるためレイアウトが崩れない、魚の泳ぎに支障が出ない。』『水槽内に水流を作らなくても底面で水を吸収する為、まんべんなく水を循環させることができる。』このように大きな利点が存在します。これらの方法は『ブルカミア』などの生物濾過機能を持った『水替えのいらなくなる』高級ソイルの登場で増えてきました。この高級ソイルを使用すると、ごみの回収などを一切せずに足し水だけで2年間は美しい水を維持することができます。(私もしてました)ただし、なにも清掃をしていないのであれば、2年間ですが、清掃を細かくしていても3~4年程度しかもたず、ソイルの清掃の際は、すべての水を抜き生体をほかの場所に移し、完全リセットを行う必要があります。通常のソイルは1年で交換しなければならないので、コストパフォーマンス面でも高級ソイルと底面フィルター、外部濾過装置の使用が優れています。景観はどうでもいいということなら底面フィルターに上部濾過装置でもいいと思うかもしれませんが、上部濾過装置はごみの回収能力に優れている機構の為、その機構がソイルを通すことで意味がなくなってきます。騒音の観点からも底面フィルターを使用する際は、外部濾過装置を使用することをお勧めします。エアーカーテンを使えるという利点もあります。高級ソイルを使用した際、生物濾過性能が高すぎるため、通常のエアー量の倍以上を準備する必要があります。

物理濾過装置のウエット方式とドライ方式

 物理濾過の方法としてウエット方式とドライ方式があり、通常はドライ方式があればウエット方式も一緒になっています。ドライ方式というのは、物理濾過を行うために『フィルターが水に浸かっていない。』事で、ウエット方式は、『フィルターが常に水に浸かっている。』事を指します。上部濾過装置や濾過槽ではこのドライ方式とウエット方式を両立しており、ドライ方式のフィルターでほとんどのごみを回収して、その後ウエット方式がサブ的な役割でごみを生物濾過エリアに行かないようにします。逆に外部濾過装置は完全なウエット方式の為、先に記述した『流量の低下』が起こります。このドライ方式だと定期的なフィルターの交換だけで、濾過装置自体をすべて掃除する機会はほとんどありません。

 ドライ方式のフィルターは、どのろ過材よりも良性バクテリアの定着率が高い為、上部フィルターやOF用濾過槽を初期だけ水位を大きく下げる事があります。

エアレーションを濾過装置に入れる

 時折エアレーションを濾過装置に入れている人がいますが、基本的には、水槽内で濾過装置がごみを回収できるように水流を作る為に水槽内にエアーストーンを設置します。その際、そのエアーストーンが強すぎて、水槽内が洗濯機にならないようにする為に、余ったエアーの出力を濾過槽の生物濾過のエリアに入れてバクテリアの繁殖を促します。また、水槽内の水流が、濾過装置の排水の勢いで出来上がっている場合、水槽内に置く必要がないため、初めから生物濾過槽にエアーを設置していることもあります。後者の場合はオーバーフロー水槽が多いです。なぜならオーバーフロー水槽は初めからごみの回収はまともにできない為、自力でしないといけないからです。逆にオーバーフロー水槽でエアーでごみを浮かしてしまうと、水面まで到達しないごみが常に漂っている状態になってしまいます。(多重構造OFを除く)

二酸化炭素を添加する

 水草水槽でなおかつ飼育する観賞魚がネオンテトラやメダカなどの小型種の場合、二酸化炭素を水槽内に添加して水草を育てることができます。小型魚が窒息すると考えるかもしれませんが、適切にCO2を添加しているのであれば、水面で水が酸素吸収をしたり、外掛けフィルターの流水で酸素が水に供給されるので、光合成を行っていない夜間でも魚が窒息したりしません。ただし、水槽に入れる魚の量が多い一般の水槽並みに多いとエアレーションを設置しなければ窒息してしまいます。CO2添加を適切に行うと、水草は通常の4倍以上の速度で成長します。水の中のCO2の割合が増えても、CO2の溶け込む限界がある為、酸素は完全にはなくなりません。むしろ添加速度を速めてもCO2ボンベの無駄になる為、失敗しない為にもCO2は気持ち程度に添加することをお勧めします。

エアレーションはなくてもいい?エアーポンプ不要

 水草水槽の場合エアレーションはなくてもいいと思うかもしれませんが、小型水槽で尚且つ魚が小型である場合、先のCO2添加の話と同じく、水面で水がO2の吸収をする為不要です。ただし、水槽内の水が底面から水面に循環するように水流ポンプや投げ込み式フィルターポンプをを使用します。ジョウロの様に水を上部から落とす場合も同様、小型魚であればわざわざ酸素を設置する必要はありませんが、生物濾過機能を持ったソイルを使用している場合、バクテリアに酸素をとられて窒息する恐れがあります。またそれらの水槽で水草をあまり入れていない場合、余分な栄養や糞から出た水草の栄養となるものが溜まり続けてしまうため、こまめな水替えが必要となります。

大型魚にあげるエサは生き餌の方が良い

 早く大きくするために大型魚に、メダカや子赤を与えるなんてことがありますが底面魚のポリプテルスや淡水エイ、キャット、プレコなどは、人口餌の方が成長が早いといわれています。逆にアロワナなどは、人口餌より生き餌の方が早く成長するといわれています。これらの原因として、底面魚は栄養効率がよく、野生時でもあまり動かないことから、餌を食べる頻度と量が少ないためです。消化しにくい人口餌を与えることで徐々に吸収するようになり、結果として毎日餌を食べている様な状況を作り出します。また、アロワナなどの大型魚は人口餌などの固いものだと消化に3日~1週間かかりますが、生き餌を食べる場合、水温や水質にもよりますが、24時間~48時間で糞となります。

小型観賞魚水槽を高温(30℃~31℃)で飼育する理由

 通常魚に合わせて25、26、28℃と固定水温ヒーターを使用しますが、多くの飼育者はサーモスタットを使用して高温で飼育しています。これらは、31℃の方が、魚の餌の消化速度が早かったり、病気にかかりにくくする為でもありますが、31℃と25℃でバクテリア量を比較した場合、31℃では許容範囲の限界までバクテリアは急速に繁殖しますが、25℃の場合バクテリアの繁殖速度は31℃の10倍以上遅いとされています。海水魚や塩を入れて飼育する汽水魚(金魚など)はバクテリアに重点を置かない飼育をする為なるべく低温25℃などで飼育します。

モスの導入動画に続きがないYouTuber

 流木にモスをつけてレイアウトをしている動画があると思います。大抵その水槽は一度きりでその後は出てこないと思います。一度モスを導入したらわかりますが、ありえないくらい増殖して数日で水槽内がすべてモスになります。その為、モスを導入した水槽はCO2添加はほぼ微量にします。

水槽のライトを宙吊りにする理由

 水槽のライトの多くは、ライトに足がついており、水槽の縁に付けるのが小型水槽で一般的ですが、水草水槽では水温が上がる為、ライトはなるべく離します。大型魚水槽では蓋を外しやすくする為にライトを宙吊りにしたり、大型魚の発色に合わせて専用の水中ライトを使います。海水魚水槽では、塩だれによるライトの故障。水温上昇を防ぐ為宙吊式か、小型で高出力なブルーライトを使います。