爬虫類のモルフの作り方

その他爬虫類爬虫類豆知識

爬虫類のモルフの作り方

はじめに

 爬虫類には多くのはモルフが存在します。そのモルフはどのように作られているかご存じですか?今回は爬虫類のモルフ固定の仕方の一部をご紹介します。

爬虫類の遺伝子固定とは?

 まず遺伝子固定とは何かというと、「顕性遺伝(旧:優性遺伝)」「潜性遺伝(旧:劣勢遺伝)」「共顕性遺伝(旧:共優性遺))」のいずれかの遺伝パターンに該当する遺伝方法を持つ遺伝子を持つことが条件です。つまり、顕性遺伝、共顕性遺伝の場合、確実に親と同じ表現レベルの特徴が遺伝しないといけない。潜性遺伝の場合、初めの親から見てその孫にあたる子供がホモ結合した場合、その初めの親と孫の表現レベルの特徴が一致することです。よくある、多因性遺伝や、不完全顕性遺伝は一つの遺伝子ではない為、細かく言うと、遺伝子固定ではありません。これらは、複数の遺伝子の組み合わせの総称での言い方である為、ノーマルと掛け合わせると、必ずその子供は同じ特徴を同じレベルで表現されません。

遺伝子固定できるパターン

 遺伝子固定にはまず、今まで発表されていない特徴をした個体を見つける必要があります。爬虫類の多くはワイルドタイプと言われるモルフとしては発表されていないノーマルの柄が多くあります。有名なのがボールパイソンでワイルドタイプだけでも200種類以上存在します。その中から、モルフとして発表されていないものを見つけて、モルフ固定の手順を開始します。他には、ふつうに飼育していて、生まれてきた子供が親や祖父母の持っている遺伝子と全く違う特徴を持っている場合も自然発生で生れた変異遺伝子である可能性があります。

遺伝子固定をする手順

 手順はいくつもありますが、一般的と言われている方法を紹介します。

1,変異遺伝と思わしきオスかメスを用意します。今回はオスが変異遺伝を持っているF1と名前が付いた個体として説明します。

2,その変異遺伝子を持っているオスF1をノーマルのメスと交配させて卵を産ませます。

3,その生れた子供はおそらくF1と比べ弱い表現レベルの特徴を持っているはずです。この時点で持っていない場合は、その変異遺伝は潜性遺伝か、多因子性遺伝になります。全く同じレベルの表現を持つ子供F2が生まれた場合、それは顕性遺伝としての特徴を持つ一つの遺伝子となりますが、今までない変異遺伝子の場合、そううまくいきません。

4-1(特徴を少し持っている場合)

 この場合、今の段階では不完全優勢の可能性があります。その特徴を持った兄妹の個体同士か親F1とその子供F2(インブリード)を交配させて、子供F2から親F1と同じ特徴を持った子供F3が生まれた場合、その変異遺伝子は共顕性遺伝子の可能性が出てきますが、まだこの段階では、不完全優勢である可能性は高いです。そしてそのF3とF3同士を掛け合わせ続けてF4、F5、F6と続けて交配します。そうすると、その変異遺伝子は、モルフ固定されて、顕性遺伝か共顕性遺伝となる事があります。ただし、最終的な子供とノーマルを掛け合わせて、同じ表現レベルの個体が生まれなかった場合、それは共顕性遺伝か不完全顕性です。さらにその子にノーマルをかけて、同じ特徴はあるが、F1より表現レベルが低い場合は不完全顕性遺伝。全く特徴が出ない個体が半分、F1と同じ特徴が出る個体が半分の確率の場合は顕性遺伝の変異遺伝子の固定に成功したことになります。

4-2(F2が親と同じ特徴を持っていない場合)

 その場合は、潜性遺伝の可能性がある為、そのF2と親をかけるかF2同士を掛け合わせて、潜性遺伝のホモ結合体F3を作る必要があります。F3で25%の確率でF1と同じ表現が出ればそれは潜性遺伝でほぼ確定し、遺伝子としての固定に成功したと言えますが、その遺伝子が確実に遺伝する物なのか見る必要があります。その為ホモ結合体が確定している、F1と同じ表現が出ているF3とF3をかけます。つまりホモ結合体とホモ結合体をかけて100%F1、F3と同じ表現が出るのかを見ます。結果生まれた個体F4がすべてF1、F3と同じ表現であれば、それは顕性遺伝で遺伝される遺伝子である事が確定します。

さいごに

 実は上記で書いた方法は固定方法の一部主要な、遺伝パターンのみを探り固定する方法を一部省略して紹介しました。他には同時進行で、遺伝形質を調べたりする必要がありますが、この記事を見て、プロではない人がインブリードを行うことはいい事ではないので紹介は省きました。インブリードは多様性を失う為、本来は何匹も血の薄い同士のノーマルを用意して掛け合わせをおこなわないと、実際にはF3以降の生まれてくる子供は死に籠りで生まれてきません。実際にすごい特徴の子供が生まれた時は専門店に相談するのが良いと思います。