ボールパイソン(爬虫類)のブリードで儲ける?

爬虫類豆知識

ボールパイソン(爬虫類)のブリードで儲ける?第一種動物取扱業を取りたい人が多い理由

はじめに

 最近爬虫類のブリーダーになりたい人が多いようです。多くの目的は、ブリーダーになって自家繁殖させた個体を販売し商売として成り立つように、副業にしてお小遣い稼ぎができるという話を聞きましたが、爬虫類を多く飼育しており、会社の経営者である私からすると「?」。どうやって+を出すんだ?今回はそんな疑問からいろいろ調べてみたり考察してみました。

ブリーダーになるには

 これはR5年現在は全国で統一され、販売店、ブリーダーが増えない仕組みになりました。ブリーダーになる方法として、第一種動物取扱業の取得をして会社を立ち上げ動物責任者になる必要があります。動物取扱責任者になるには第一種動物取扱業が必要であり、その取得方法は動物販売店で半年間以上の正社員として勤務。となりましたが、実は地域によって1年間ならアルバイトでいいとか、正社員なら半年でいいなどかなり曖昧です。まず、アルバイトなら1年間と言うのに引っかかります。アルバイトなら週40時間の所定労働時間などがありませんから、週1出勤を1年間続ければ正社員と同等扱いと言うのは日本では難しい話です。先の条件に加え動物に関する免許の取得も必要ですが、それは簡単なようです。

 他にも「実務経験と同等の1年間以上の飼養経験」などという文言がありますが、地域により大きく異なります。この文言は、動物に関する学校に1年間以上通っているという解釈をする地域もあれば、一番多いのが、犬猫や爬虫類などではなく、免許が必要ではない、魚や一部小動物、両生類などの販売店で勤務している場合などに該当すると解釈する場合があります。噂レベルの話ですが、飼育している動物の記録を1年以上取っていればいいなどもありますが、そんなことで免許が取れてしまえば規制した意味がありません。

飯はくえるのか?

 今回の記事の一番の点である、爬虫類のブリーダーをして飯を食っていけるのかですが、まずはすごく簡単に会社という物を見てみましょう。

 免許を取得して、場所も確保できたと仮定して考えた場合、1年間に何匹の爬虫類の子供を産ませればいいのでしょうか?ボールパイソンを例にして考えましょう。

年間利益を計算してみる

ボールパイソンのアダルトのオスメスの計20匹で1年ごとに80匹の子供を産ませる場合を想定します。餌は1匹あたり年間1万円として、電気代、場所代(家賃)は抜きで考えます。そしてその子供は販売店に1万円で売れたものとします。

ボールパイソンのアダルトの餌代年間20万円(¥-200000)

生まれた子供が1万円×80匹=¥800000

この時点で年間60万円の利益です。すごく儲かってるように見えますよね。ここまで考えることができれば高校は卒業できます。ここからが社会の問題です。

会社を立ち上げて経営者となっている場合、黒字でも赤字でも1年間で強制的に約8万円の税金が決済時に発生します。もし黒字の場合利益の約40%は税金として徴収されます。ブリーダーを主な仕事としている場合は社会保険料がかかってきますが、自分の給料から約半分、もう半分を会社の通帳から引かれます。給料が約30万(手取り約23万)の経営者(役員)で設定した場合、内給料の約5万は保険料残り約5万は会社が支払います。

年間60万の利益が出た場合、給与で30万ひかれさらに約13万ひかれ残りが17万です。つまり会社の年間の利益は単純計算で17万となりますが、その17万には成体20匹分の購入費、光熱費、家賃は含まれていません。そしてその17万から40%の税金を払うと、102000円残ります。

ボールパイソンのノーマルで考えた場合、販売店の引き取り価格が1000円~2000円で、1万で子供が売れる場合と言いましたが、販売価格3万相当のモルフの買い取り相場が1万円です。常に店頭価格3万円の個体を産める親は10万以上するでしょう。

ただ裏ワザとして決算時、会食費や備品購入費、移動用の車代やガソリン代も決算書に入れて会社の利益はマイナスであったとして「赤字決済」としてしまえば、40%の税金の支払いを逃れ、約8万円の徴収のみで済みます。 しかし、赤字決済を3年間以上続けた場合は、社会的には「信用なし」となり、今後黒字決済を数年続けなければ、一定額のローンを組むことができません。よく、中小企業の社長さんが高級車を持っていますが、この高級車は購入後5年間の会社の利益を少なく見せたり、外車や絵画の場合だと、その年だけや約3年間の利益を極端に少なくする「税金対策」として車を購入します。つまり40%利益から国にとられるなら物を買ったことにして利益を少なく見せ徴収される金額をすくなくしてしまえと言う事です。車の場合ドアの数や国産かどうかで経理に入れていいか、何年間減価償却にできるか異なるのでよく調べましょう。裏技ではないですが、ブリーダーというのを仮定した場合、自宅以外に繁殖場がない場合、車の購入は困難な可能性があるので、正規ディーラーでリースという形であればどのような職種でも経理で処理できます。

ブリーダーは数で勝負

 さて、ここまでの話で、ブリーダー専門で働くと儲けを出すにはオスメスの数を増やし、生まれてくる子供の数を増やせば、やっていけなくもない事がわかると思います。これは販売店も同様で、販売店は仕入れた成体の餌代が常にかかるわけですから年間の利益でみても、従業員を雇っていればブリーダーの利益とさほど変わりません。その為、イベントに出店したり、輸入や、引き取り、ブリーダーから購入した後はすぐに売れないと赤字が増える一方です。

似非ブリーダーになるのが一番いい

 ブリーダーとしてやっていくにはかなりの難易度である事はわかっていただけたと思いますが、実は免許も取得せずブリーダーになる事ができます。これは法律的には極めてグレーですが、販売店のアルバイトとして籍をおいて、その店で自家繁殖した個体を売りその個体の利益をバイト代として受け取れば年間30万までは所得税の申告の必要はありません。ただし、住民税は関係なく加算されます。そのような都合のいいお店があるのかは疑問です。なぜなら保険料を扱う年金事務所も、給与を管轄するハローワークも定期監査(4年に1度の強制監査)で従業員のタイムカードと年間賃金台帳の提出をしないといけないからです。

繁殖した分だけを販売する店舗が強い

 ここまで繁殖分を販売店に卸すことを前提にしていましたが、販売ができる実店舗を持っていたり、自宅でお客さんを入れることができる環境で、自宅で売買ができる場合は、自家繁殖させてその生体を販売が一番利益率は良いです。

爬虫類分野は悪い方向に行っている

 取り扱い責任者の取得条件が変わってから年々爬虫類の売り上げは落ちています。現在生き残っている販売店は海外輸入を行い高額で販売しているお店や問屋を兼任している販売店が多く、販売店だけしている場合の多くは閉店しています。具体的には10年前ほど需要が落ちているのに価格はそのころの5倍以上という意味の分からないことになっています。

 動物販売の傾向として、販売に免許の要らない、熱帯魚や昆虫類が価格上昇しています。特にアロワナなどは問屋では3万でいれれるがなぜかヤフオクだと10万を超えるなんてよくあることです。おそらく、虫もですが、ヤフオクなどではなくても問屋から直接買える事を知らない人が多いようです。ちなみにサソリで言うと、1匹1000円のサソリを繁殖させた場合年間40匹の産卵なので4万。10ペアだと40万、飼育自体もプリンカップでするので場所も取らず結構な額が稼げるし、AmazonなどのECでも販売できるので増えているようです。

さいごに

 ショップに遊びに行くと、いろいろな人が座ってコーヒーを飲みながら話をしていることがあるのですが、その中ででた話の一つでブリーダーに関する面白い話を聞きました。とあるブリード専門のお店の話ですが、年間の利益が4億円もだすようなブリード専門の所があるようですが、利益は4億円だが、経費が3億7千万で自分の給料とるとほとんど残らなかったなんて話をききました。はてさて、本当の話なのか、ただの年収3千万ある自慢話なのかはわかりませんが、総括として私が思ったことは、ケーキ屋さんを経営した方が利益が出そうです。正直、もっと設けないとおかしいだろとは思うのでさらに調査を続けていきたいです。