イエコとクロコオロギを比較!飼育繁殖方法
はじめに
ヨーロッパイエコオロギとクロコオロギはペットとしての飼育ではなく、爬虫類の餌やアロワナなどの大型魚の餌としてよく利用されます。日本で販売されているこの2種は、餌に特化するように改良されたコオロギです。今回はこのヨーロッパイエコオロギとクロコオロギについて詳しく解説して比較いこうと思います。
コオロギの特徴
爬虫類の餌としてはコオロギ以外にゴキブリ系やワーム系が有名ですが、コオロギは以下のメリット、デメリットがあります。
メリット
- 繁殖サイクルと成長速度が他の種類の餌の約2倍。
- ほぼすべての昆虫食の爬虫類に餌として与えることができる。
- ゴキブリと異なり幼体でも成体でも餌として使える。
デメリット
- オスが毎晩鳴き声をだしてうるさすぎる。
- スペースあたりの飼育可能数がすくない。
- 温度は25~30℃必要で外では飼育できない。
ヨーロッパイエコオロギの特徴
餌として販売されているヨーロッパイエコオロギ(以下イエコ)は、選択的交配により、野生のイエコと比べ、高栄養価、繁殖力、環境適応能力、体を大きくするように改良されてきました。クロコオロギと比べ、成長能力と繁殖能力は劣りますが、自家繁殖としての餌では(鳴き声を除き)一番良いと言われています。ただし、栄養価や体の大きさはクロコオロギに劣ります。
クロコオロギの特徴
クロコオロギは餌の為の改良品種であり、栄養価、管理方法ともにイエコと比べ優秀ですが、成体になるまでの期間が遅い、卵の数が少ないです。
それぞれの繁殖サイクル
繁殖サイクルはほぼ同じです。以下は共通項目です
コオロギの繁殖サイクル
1,卵から1週間~2週間で孵化
2,幼虫期は約5週間前後で脱皮を繰り替えし成長して成虫期になる。(クロコオロギは少し長い)
3,成虫期は繁殖行動を行い、オスは夜間音を出してメスを引き寄せます。
4,一度交尾を行うと長期間メスは精子を保持し産卵を何度も繰り返します。
繁殖、成長の違い
クロコオロギはメス1匹の生涯に産む卵は約200~400個です。それに対しイエコのメスは約500~1000個でありイエコは環境がより適切であれば2000個近い卵を産むともいわれています。また、クロコオロギの寿命は約5か月、イエコは3.5か月でクロコオロギの方が寿命が長く、また、クロコオロギはイエコと異なり成長が遅く、成体になるまでの時間は約半月~1ヵ月ほど遅いです。それ故、クロコオロギは繁殖のサイクル期間は長いですが、成体になるまでの期間は長い為、オスが鳴くようになるまで時間を要します。
栄養価の違い
タンパク質はイエコが約60~65%、クロコオロギは65~70%でクロコオロギが高く、また、食物繊維もクロコオロギの方が高いです。また、他のビタミンとミネラルは、両種とも、餌により変動するとされおり、栄養価は自体はクロコオロギの方が高いとされています。
ヨーロッパイエコオロギの方が自家繁殖にいいとされる理由
イエコは先に記述した通り、クロコオロギと比べ繁殖サイクルが早いです。それ故、自家繫殖では、大規模農場を作る事は出来ないので、少ないスペースで爬虫類に常に餌を提供できる環境を作ることができます。つまり、クロコオロギを繁殖させる場合は、成長速度が遅い分より大きな飼育スペースを確保する必要があります。
繁殖用・ストック用ケージの準備方法
作成手順を読んでから準備してください。
小スペースで飼育できるケージの作成方法はこちら
コオロギは上記のリンク先の記事でも書いていますが、繁殖場を作る必要がある為、注意してください。
コオロギの餌の作り方
餌で野菜を使うのはNGです。野菜の多くはコオロギ対策された農薬がついている可能性があります、または、水を多く含む野菜の場合、コオロギ以外の虫が住み着いてしまう可能性があります。
コオロギにはタンパク質を多く含む餌が重要とされていますが、海外では共食いを防ぎ繁殖速度、成長速度を高める為にはカルシウムが必要とされています。
よく使用されるのが、鳥用の粉餌です。ウズラや鶏、小型鳥類で使われるものなら何でもいいです。それに爬虫類用のカルシウム剤を少量(お気持ち)添加して完成です。ケージの中の餌が無くなればそこに追加していけばいいです。カルシウムは成長にも重要な栄養素ですが、特に繁殖能力に強くかかわってきます。産卵数に影響すると言われています。既存の餌だけでは、卵が増えないなと思ったときに入れましょう。大概の鳥類の餌にカルシウムはそほど必要ではない為、必要量が入っていないとされています。
メンテナンス方法
日頃のメンテナンス
日頃のメンテナンスはありません。週1回程度、水や餌が切れていないか確認する程度です。
もし、繁殖場を別の容器に入れて幼体専用ケージを作っているのであれば1週間に1回繁殖所の容器ごと入れ替える必要があります。取り出した繁殖場は、飼育しているケージと同じような環境に置いておくだけで十分です。2週間たってしまうとケージ内で子供が生まれる可能性があります。
ちなみに私は、繁殖所を入れたままで別のケージに移したりしていません。面倒なので・・繁殖場を別のケージに入れても繁殖場の中に幼体が潜っていて結局成体と同じケージ中に幼体がいる状態になります。少しでも繁殖数を増やしたいのであればいいかもしれません。
糞を取り除く
メンテナンスは月に1回程度が理想ですが、大抵は3ヵ月に1回になると思います。飼育で使っているケージと全く同じものを用意してそこにコオロギを移すのが簡単です。ゴキブリと異なり、コオロギを移すのはすこし手がかかり、1匹づつ手で取り違うケースに入れる必要があります。
さいごに:とにかく鳴き声に勝て!
鳴き声に勝てればゴキブリ系やワーム系よりはるかに安定して餌を供給でき、1匹あたりの値段を落とすことができます。ただこの鳴き声が一番厄介でどうしようもありません。また温度もある程度の温度が高い所26~30℃で飼育する必要がある為、外で飼育することもできずなかなかの気合が必要です。温度でいうと、日本の冬の時期は繁殖は特に厳しいと思った方が良いです。安定して繁殖をさせる為にはエアコン管理された部屋で飼育しなければなりません。