アロワナ(巨大魚)飼育で最重要な知識

大型魚観賞魚

アロワナ(巨大魚)飼育で最重要な知識

みなさんは、アロワナや大型魚を飼育していて難しいと感じたことはありませんか?
観賞魚の中では環境を整えさえすれば比較的飼育がしやすい大型魚ですが、私が飼育していて気付いた難しい点であり最重要なpHについて解説していきます。


pH(ペーハー:水素イオン濃度)の固定・維持

アロワナの拒食の原因の一つとされる pHの変動 ですが、水質の悪化よりも pHの急激な変化 のほうが餌食いに影響を与えることが多いとされています。
小型魚でも pH が不適切だと 白点病 などの病気が出やすくなります。

観賞魚飼育において最も恐れられている現象の一つが pHショック であり、一度発生すると回復が難しく、最悪の場合死に至ることもあります。そのため、pHの安定維持 は重要なポイントです。


pHとは?

pH は、水溶液の酸性・アルカリ性を示す指標で、0〜14のスケールで表されます。

  • pH 7:中性
  • pH 7未満:酸性
  • pH 7以上:アルカリ性

観賞魚の中でも、金魚や海水魚を除く多くの淡水魚は 弱酸性(pH 6.5 前後) の環境を好みます。
水の酸性・アルカリ性は、水中の 水素イオン(H⁺) の濃度によって決定されます。


水素イオン濃度とは?

pH測定器は 水の水素イオン(H⁺)の濃度を測定 しています。
pHが変動する原因の一つとして、水中に含まれる HCO₃⁻(炭酸水素イオン)CO₃²⁻(炭酸イオン) のバランスがあります。

  • CO₃²⁻(炭酸イオン)の比率が高いと、pHは高くなり、アルカリ性傾向になる。
  • HCO₃⁻(炭酸水素イオン)の比率が高いと、pHは中性〜弱アルカリ性の範囲で安定する。
  • H₂CO₃(炭酸)が多くなると、水は酸性傾向になる。

つまり、水中の二酸化炭素(CO₂)が多いと、H₂CO₃(炭酸)が増えてpHは下がる(酸性に向かう) ことになります。


pHとGH(硬度)の関係

観賞魚飼育で誤解されやすい点の一つに、「淡水魚は GH(硬度)が低い方が良い」という考えがあります。

  • 硬度(GH:General Hardness) とは、水中の カルシウム(Ca²⁺)やマグネシウム(Mg²⁺)の濃度 を指します。
  • 硬度が低い水を 軟水、高い水を 硬水 と呼びます。

「pHを低く保つには軟水が良い」というのは誤解です。
GHが高い(硬水)からといって、必ずしも pH が高くなるわけではありません。むしろ、GHが高いとpHの変動が穏やかになり、GHが低いとpHが変動しやすくなる という性質があります。

GH(硬度)が pH に与える影響

  • GHが低い(軟水) → pH が 酸性・アルカリ性どちらにも変動しやすい
  • GHが高い(硬水) → pH が 安定しやすい(緩衝作用が強い)

市販の GH降下薬 は、pHの変動を起こしやすい環境を一時的に作るために使用されることがあります。
また、地域によって GH の違いがあるのは、水源の地質(サンゴ由来の石灰岩が多い地域など)による影響が大きいです。

結論として、GHは高い方がpHは安定しやすいが、無理に上げる必要はない。
ただし、GHを過剰に下げると、pHが不安定になりやすくなるため注意が必要です。


pHが上下する原因

pH の変動にはさまざまな要因がありますが、その一つに 水中の二酸化炭素(CO₂)濃度 があります。

二酸化炭素(CO₂)とpHの関係

CO₂+H₂O⇌H₂CO₃⇌HCO₃⁻+H⁺

  • CO₂が増える → H₂CO₃(炭酸)が増加し、H⁺が放出されて pHが低下(酸性傾向)
  • CO₂が減る → H₂CO₃が分解されてHCO₃⁻が増え、pHが上昇(アルカリ性傾向)

水槽の pH 変動を引き起こす要因

  • エアレーション不足 → CO₂が溜まり、pHが低下する
  • フィルターの掃除 → 有機物の分解が減り、CO₂の発生が減少するため pH が上昇する
  • 水換え → 水道水の pH が異なる場合、急激な変化が起こる

フィルター掃除後に pH が上昇するのは、「バクテリアが減って CO₂ の発生が減るため」と考えられます。
pH の急激な変動は pHショック を引き起こす原因となるため、水換えやろ過材の交換は慎重に行うべきです。

対処方法と予防法

酸素の増加

エアレーションの出力を上げる、増量することにより水中の酸素濃度を上昇させます。また、エアレーションの場合は、出力量を調整することで、今後の維持も簡単になる為とてもお勧めの解決方法です。問題は水に酸素を溶かしやすくすればいい為、エアーストーンの泡の大きさを細かくしてやれば水中の酸素濃度は上がります。対してエアレーションを増台し出力総量を上げれば、同様の効果を生みますが水槽内が洗濯機になる為、エアレーション増量をする場合は生物濾過槽に入れることをお勧めします。泡が細かく出るエアーストーンが最適ですが、濾過槽に入れるのであれば市販店でも販売されているエアーカーテンが使い勝手もよく安価でありお勧めです。

牡蠣殻の導入

水槽の pH が低下しやすい場合、牡蠣殻(かきがら)を利用することで、pH を安定させ、弱アルカリ性に調整することができます。これは、牡蠣殻の主成分である 炭酸カルシウム(CaCO₃) が水に溶け、pH の緩衝作用を持つためです。牡蠣殻の主成分である 炭酸カルシウム(CaCO₃) は、水の pH に応じて溶解量が変わり、pH の変動を抑える働きをします。

水が酸性の場合(pH 6.5 以下)

水中に 二酸化炭素(CO₂)酸(H⁺) が多く、pH が低下すると、牡蠣殻が溶けやすくなります。CaCO₃+2H⁺→Ca²⁺+CO₂+H₂O

水が中性〜弱アルカリ性(pH 7.0〜8.0)の場合

この範囲では牡蠣殻の溶解が ゆっくり 進み、pH の急激な変動を防ぐ「緩衝作用」を持ちます。

水がアルカリ性(pH 8.5 以上)の場合

水がすでにアルカリ性の場合、牡蠣殻はほとんど溶けません。そのため、pH が上がりすぎる心配はない ですが、pH をさらに上げる目的では効果が薄いです。

牡蠣殻導入の結論

入れ続けるとアロワナの適正pH6.5を超えるため、6.5以下で酸性傾向が強くなっている水槽の対応策としては有効だが、導入した牡蠣殻を放置し続けるとpHが8を超える場合がある。その為、牡蠣殻を導入した際はこまめな水質検査を行い6.5前後で牡蠣殻を徐々に取り除く必要がある。

牡蠣殻のおすすめ商品

SUDO(スドー) スターペット 特撰かきがら徳用

 小分けされており必要と思う量を好みで入れることができ、私の経験上アロワナ水槽ではバクテリア量にもよるがpH6.5前後を入れておいても維持してくれる。過度にpHをあげたりしない。ただし、pHが元々あまり変動しない水槽の場合は金魚が好むpH(弱アルカリ)まで上げてしまう。Amazonだと500円以下で非常に安価である為、非常事態としてpHをすぐに上げたい場合はお勧め。

pHを強制的にすぐ上げるリバース・グレイン ソフト 6.8

リバース・グレイン ソフト 6.8はpHを強制的に6.8に維持させます。pHが5でも10でも、入れて私の体感ですが12時間以内には6.8になっています。すげー商品でありとても有名ではありますが、お値段がすげー高いです。原理は不明ですが、何故か6.8で維持させる強者である為、ためらう人が多いですが、即効性が非常に高くまたバクテリア吸着も良いことから愛用する人も多いです。使用可能期間は3か月と非常に長く感じますが6000円を超えることから、6000円で3か月なら短いと感じるはずです。リバース・グレイン ソフトの補助薬を購入し規定量導入し続けると3カ月から期限を延ばすことはできますがさらにお金がかかるので一時的に使うことをお勧めします。また、一度にすべてを水槽に入れてしまうとpHが激しく変わってしまいpHショックを起こすため、徐々に入れていきましょう。どんなにフィルターが汚くても水質を強制浄化してしまう為、根本的な酸性になりすぎる原因の解決にはならないので、原因の解決が困難である場合使用することをお勧めします。私が大富豪なのであれば迷いなくリバース・グレイン ソフト 6.8を買って補助液も使用して水槽維持をしたいですね。一度使ってみれば水がピカピカになるのがすぐに体感できると思います。

ブルカミアDの導入

 神も恐れる最強高級ソイル『ブルカミアD』をろ過材として濾過槽に入れます。ブルカミアDには弱酸性版と弱アルカリ版(金魚用)がある為注意が必要です。私も愛用していたソイルで淡水魚の飼育には最高と思います。ただし、ソイルとして大型魚水槽に使用すると餌と同じ大きさである為危険ですが、濾過槽に入れる分には問題ありません。徐々にpHを6.5前後にし安定させます。また、バクテリアの増殖、吸着性能が非常に高い為、普通の濾過材よりも非常に優秀な能力を持っています。私が実験として90㎝水槽に適正量入れ水草も入れ管理していましたが、2年間は水替えなしで足し水だけで管理できるほどの恐ろしい性能を持っています。対して一番注意しないといけないことはバクテリアの吸着量、増殖量が強すぎて魚が酸欠を起こします。つまりはバクテリアが増えすぎて魚が吸う酸素をバクテリアが吸ってしまいます。その為エアレーションは通常の3倍を導入して運用していました。高級ソイルとして販売されていますが値段は安価で4㎏で3500円程度です。公式の出している消費期限は1年です。デメリットは使用限界を迎えると一気に水質悪化を起こします。また、先も説明した通り、バクテリア管理能力が高すぎて酸素を通常より多く入れないといけないので、単純な酸素上昇でのpH回復で改善しない場合、ブルカミアDを濾過槽に導入するという手順を踏むことをお勧めします。また、商品説明で書かれている通り、導入直後は水質の急激な浄化を行う為、魚にダメージが出ることがあります。既存の水槽に入れる場合は十分注意を行い、徐々に導入しましょう。