【爬虫類飼育】UVA・UVBライトに関する大きな誤解と正しい知識

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【爬虫類飼育】UVA・UVBライトに関する大きな誤解と正しい知識

はじめに

爬虫類を飼育するうえで「UVAライト」「UVBライト」はよく耳にする言葉ですが、その必要性や役割について大きな誤解が広まっています。本記事では、UVAおよびUVBの違いとそれぞれの正しい使い方、そしてその他のライト類(保温球・バスキングライト)についても詳しく解説します。今回の記事は全て海外の論文と専門誌を参照しています。

急死の多くはUVBに関する知識の間違えでのUVB不足

爬虫類でUVBが必要と言われている種類での急死のほとんどがUVB不足(カルシウム不足を起因とする骨粗鬆症などを含む)と言われています。一般飼育者が原因不明で死んだと思う多くの事例がUVB不足と組織検査と解剖後にわかっています。ちなみに統計では1位がそのUVBの不適切関係で、2位が卵詰まり、3位が感染症で、4位以降もUVB不足またはカルシウム不足を起因(どちらか不明)しているものが多いです。また1位と2位が急死、突然死、つまりは一般飼育者で言う原因不明の死(外傷を伴わない病死)の半数以上を占めています。(統計では寿命と思わしき死は除外されています。)

特に亀飼育では多くの誤解者が多く、亀は甲羅に照射しても意味がない為、皮膚に当てる必要があり、UVBを斜めから照射しないといけないなどがあります。野生飼育(外)や外での散歩が重要とされています。

UVA・UVBライトとは?

まず結論から述べると、夜行性の爬虫類にUVA・UVBライトは原則不要です。しかし、動物福祉の観点からは、UVAは夜行性であっても一定の意味があります。

とはいえ、UVAライトをわざわざ設置する必要はないケースが多く、窓から差し込む自然光程度で十分な場合もあります。

UVAライト:昼と夜を区別するための光

UVA(320~400nm)とは、主に可視光に近い波長の紫外線であり、爬虫類にとって「昼と夜の識別」や「活動リズムの調整」に関与します。

  • UVAは部屋の照明や窓からの光でも補うことができます。
  • 照射時間の規則性が重要です。毎日決まった時間にUVA光を当てることで活動リズムが安定します。
  • 不規則な照射や光が不足すると、活動性の低下・食欲不振が起こることがあります。
  • 繁殖期には照射時間を意図的に操作することがあります。

UVBライト:ビタミンD₃合成に不可欠な光

UVB(280~320nm)は、ビタミンD₃の合成に必須の紫外線です。これによりカルシウムの吸収が可能となり、骨の形成や神経機能を正常に保ちます。

UVBライトの正しい使用法:

  • 皮膚に直接照射する必要があります。
  • カメの甲羅ではビタミンD₃は合成されないため、手足や頭部に斜めから照射します。亀類はそれでも足りないとされている為、野生飼育(外での飼育)や外の散歩が推奨されています。
  • その他の爬虫類では通常の上部照射で問題ありません。
  • 外に出してUVBを直接当ててはなりません。太陽のUVBとUVBライトのUVBは10倍のさがあります。一般の爬虫類は太陽光の下では長くても2時間当たっていれば過剰代謝でカルシウム欠乏症などの病気になるとされています。亀は太陽の下でも露出する皮膚が少ないため無敵な種類が多いです。
  • ビタミンD₃の不足は以下の問題を引き起こします:
    • 骨形成障害(代謝性骨疾患)
    • 神経疾患(シナプス伝達異常)
    • 筋肉の痙攣、小刻みな動作、呼吸不全 など

使用上の注意:

  • UVBライトは消耗品であり、6ヶ月~1年で紫外線量が著しく減衰します。
  • UVBはガラスやアクリルを通過できません。窓越しの光では不十分です。
  • 夜行性爬虫類には基本的に不要です。

バスキングライトは普通の電球で代用できる

バスキングライトは1000円を超えます、対して家電量販店やどこでも売ってあるレフ電球は300円であり代用は可能です。ただし耐久性はバスキングライトは一般のレフ電球と比べて10倍の耐久性があります。またレフ電球といってもLEDは何の意味もないので注意が必要であり。レフ電球とは内部に反射板を入れて光が拡散されない設計のものです。もし一時的な代用として使用する場合は色温度は白色にして専用のバスキングライトが届いたらすぐに変えましょう。爬虫類用バスキングライトはセラミック加工や特殊ガラスが利用されているのに対して、一般のレフ電球は高温対策がされていないので通気性の悪い場所での長時間稼働は熱で溶けます。白熱レフ電球(反射型)は日本では廃止対象の可能性があります。日本では環境促進としてLEDへの変更を促進しており白熱球は爬虫類用などを除き販売、製造が終了するとされています。

保温球:夜間の温度管理に有効な熱源

保温球は光を発せず、熱のみを供給する装置です。

  • 夜間の保温や光を嫌う種類(例:夜行性・フトアゴヒゲトカゲ)に有効です。
  • フトアゴヒゲトカゲは真上からの照射以外を嫌う傾向があります。
  • 昼用にはバスキングライト、夜用には保温球を使い分けます。

バスキングライト:日光浴の代替としての局所加温

バスキングライトは光と熱を同時に供給する装置で、照射された部分を局所的に温めます。

  • UVBライトと同じ場所に設置されることもあります。
  • 種類によっては、ライト下に長時間とどまることがありますが、これは自然な行動です。
  • ランプシェードの併用を推奨します。光が全体に拡散すると、ケージの温度が過剰に上昇する恐れがあります。

まとめ

ライトの種類主な目的夜行性への必要性備考
UVAライト昼夜リズムの調整一部で有用(福祉面)規則的な照射が重要
UVBライトビタミンD₃合成不要皮膚に直接照射、ガラス不可
保温球全体加温(光なし)有効夜間・光を避けたい場合に適す
バスキングライト局所加温(日光浴代替)一部で必須シェード併用で温度管理